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安倍候補の考える教育改革

《サッチャーモデルの教育改革は成功するか》
美しい国へ 』の「第7章 教育の再生」の中で言っていることをまとめていくと次のようになる。

 サッチャーは、…二つのことを断行した。ひとつは自虐的な偏向教育の是正、もう一つは教育水準の向上である。…どちらも、日本の教育が抱えているといわれる課題と重なっている。…

…私が幹事長だった2004年秋、自民党は教育調査団をイギリスに派遣した。イギリスの経験が、きっと日本の教育改革、とりわけ教育基本法の改正に活かせると考えたからである。

…(サッチャーの)改革は現場の教師の猛反発をくらうことになった。国会にはデモ隊が押し寄せ、教育大臣の人形が焼かれたり、教員のストが半年以上も続いたりした。しかし、サッチャーはいっさい妥協しなかった。…メージャーがこの政策を引き継ぎ、なんと労働党のブレアもこれを引き継いだのだった。(以上『美しい国へ 』より)

近年の自民党政権は、経済改革のモデルをイギリスのサッチャー等の改革(新保守主義、新自由主義)に求めてきた。だから、教育に関してもそれを取り入れるというのであるが、ここにもトリックがないだろうか。
 
当然、我々ごく普通の国民には、安倍氏のようにイギリスに調査団を派遣することは出来ない。北海道大学の山口二郎教授は、『ブレア時代のイギリス』の中で、サッチャー改革によって教育の現場(教育の環境)は大変荒廃した。そうした中で、ブレア政権は、新たな教育の改革に着手するという内容であった。不用意に改革を断行すると、現場は混乱するばかりか、荒廃が進むと言うことである。

ブレア時代のイギリス

ブレア時代のイギリス

  • 作者: 山口 二郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2005/11
  • メディア: 新書

さらに、安倍氏のいう「闘う」相手を考えてみると、教育界改革に関しては、現場の教員と言うことになるだろうか。

教育の現場にしてみれば、うまくいかないのがはじめっからわかっていた「ゆとり教育」に精を出して頑張っていたら、新しい政権になりそれは間違いだったとして、今度は…、と思ったら、権力者が闘う相手をして自分たちに向かってくる。

《安倍教育改革の目的は 美しい国づくり》 
安倍改革の目的は、何なのだろうか。この著書は政策集ではない逃げ道を「おわりに」の中で言っている。しかし、これは国民に対して、自分の政策を提示しているものでないのか。何か、もしもの時の逃げ道を作っているように思う。

それはそうと、安倍氏は教育の目的を次のように言う。
 教育の目的は、志ある国民を育て品格ある国家をつくることだ。そして教育の再興は国家の任である。(『同』P207)

この教育の目的観には次の問題点がある。

  1. 教育の目的は、こどもたちの人格の完成ではなかったのか。こどもたちの幸福ではなかったのか。(参考:教育基本法 (教育の目的)第1条 教育は、人格の完成をめざし、…心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。)
  2. この文章を、「志ある国民」を育てて、「品格ある国家」をつくると読んだ場合、国民の教育は国家のためということになる。

安倍氏のいう美しい国家は、国家自体が美しく、その中の国民は二の次、あるいは、その手段であるといえる。教育基本の改正をすすめようとする安倍氏には、今の教育基本法の精神にそった政策というのは期待できそうもない。

《安倍教育改革からみえてくる 美しい国》 
教育改革の具体案を見ていくと次のようにまとまることが出来る。

1 首相直属の「教育改革推進会議」を設置
2 問題のある教師の解雇
3 学校評価制度の導入
4 「公の精神」を育成
5 「自虐的」と批判してきた歴史教科書の見直し

この安倍改革のキーワードを組み合わせて文章化すると、こうなる。

首相直属の「教育改革推進会議」を設置して、教育政策を首相が握る。その内容は、「公の精神」を育成する事からはじめ、「国家への」忠誠心を育成することにある。

それは、先の大戦に対する国家の決着を付けないできたが、それに最終的な解決を図るものである。「自虐的な史観」に基づく歴史教科書を書き改め、第二次世界大戦アジア民族解放のための聖戦であったとする。
 
さらに、これからの政治日程として、連合国によって押しつけられた憲法を改正し、自衛隊を正式に日本の軍隊として位置づける。つまり「公の精神」の育成は、進んで戦場に行くことを志願する日本人の育成につなげていく。

こうしたことを実現するためには、教育の力が必要なのだ。教育を戦争に駆り立てる国家装置として整備する必要がある。他の省庁にこの政策を邪魔されてはいけないから、直属の機関にゆだねるのである。

問題は、現場の教員たちである。政府にたてつくものは、「問題のある教師」として解雇する手だてが必要であるし、それをチャックするために外部のものによる「学校評価制度」が必要である。

《権力者が必要とする人間を生み出す時代》
小泉内閣が、首相直属の「経済財政諮問会議」を設置し、これまでの自民党の政策決定方式を無視して、首相直属として、自分の思い描く政策を強行した。

こうした小泉首相の政治スタイルを、55年体制に変わる新しい日本の政治体制であると行った人がいるが、新しい形の独裁者の出現ということだ。(『首相支配-日本政治の変貌 』竹中 治堅、中央公論新社
 
安倍改革での教育改革が、「戦争に駆り立てる国民つくり」でないとしても、「権力者がえがく日本人づくり」を目指しているとしか考えられない。いろんな社会の抱える問題をうまくすり替えながら、国民をコントロールしようとしてだけではないだろか。
 
安倍晋三という政治家が、考えている国家は決して国民のための「美しい国」ではない。国家が美しくなったとしても、国民は笑顔をなくし、疲れてやつれた顔をしている。


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